東宝/カラー・スタンダード/82分
昭和31年12月26日公開
(同時上映「眠狂四郎無頼控」)
「焦点 ラドン」
監督 本多猪四郎
私はゴジラ≠一昨年作りましたが、当時は日本映画始まって以来の試みである怪獣映画であり、全く経験のない仕事であるだけに多少冒険的な気持も手伝い、とにかく不満足乍らも、一生懸命作りました。御蔭でゴジラ≠ヘ当時の流行語にもなり、大変嬉しく思っております。そこで今度空の大怪獣ラドン≠製作するに当って、よくゴジラ≠ニ比較されて解釈され勝ちですが、ところが全く違うと云い度いのです。それはゴジラ≠ェ主に水陸を暴襲したのに比べラドン≠ヘ水陸空にわたり、しかも大空を超音速で飛び廻るので、遙かに行動範囲も拡く、それにイーストマンカラー総天然色であるからです。私の演出意図としては単なるお伽噺でなく、真実性を持たせ度い。つまり充分な科学性の裏づけのある嘘でないものを作りたいのです。総天然色で描くと怪獣映画にしては画面が綺麗すぎやしないかと考えられますが、私は別の意味で大きな抱負を持ってます。
ゴジラ≠ェ大衆に愛された様に、ラドン≠烽ワた、それにまして美しい楽しい大人も子供も親しめる娯楽作品にしたいと信ずるからです。
(「東宝サンデー藝能」昭和31年11月25日)
坑道内のセットにて撮影中の本多監督(右端)
奇怪な事件が起きた坑道内を捜索する警官と炭坑夫たち(絵コンテより)
空へ舞い上がったラドンの衝撃波でジープが吹き飛ばされる特撮の名場面
絵コンテに描かれたラドンの初期イメージ
地下大洞窟の特撮セットでラドンの卵のミニチュアをチェックする本多監督
ラドンが地中から出現するシーンの絵コンテ
出演
佐原健二
白川由美
平田昭彦
小堀明男
村上冬樹
中田康子
山田巳之助
田島義文
松尾文人
水の也晴美
如月寛多
草間璋夫
大仲清二
中谷一郎
今泉廉
三原秀夫
他
ラドンの誕生を目撃して記憶を失った河村繁(佐原健二)と、看病するキヨ(白川由美)。キヨが飼っている小鳥の卵が記憶をよみがえらせる鍵となる
阿蘇山の噴火に呑み込まれるラドンの最期。下は同シーンの絵コンテ