大怪獣バラン / Varan

1958年
東宝/モノクロ・トーホー・パン・スコープ/87分
昭和33年10月14日公開
(同時上映「僕は三人前」)

映画「大怪獣バラン」についての解説

――シベリアにしか生息していないはずの蝶が東北地方で発見され、北上川上流の山岳地帯奥深く調査に向かった生物学者の新庄たちが原因不明の事故死を遂げた。閉鎖的な地元の村人たちから恐れられている婆羅陀魏(バラダギ)山神の仕業なのか?
真相を究明すべく、杉本研究所の同僚だった魚崎と新庄の妹で新聞記者の百合子、堀口カメラマンの3人は現地に向かい、そこで中生代の恐竜バラノポーダーの末裔であるバランに遭遇。出動した自衛隊によって湖の住処を追い出されたバランは、ムササビのような皮膜を広げて空の彼方に飛び去り、やがて東京湾に近い海底に潜んで漁船を襲うなど重大な脅威となった。自衛隊はバランの都市部への侵入という最悪の事態を阻止すべく、陸・海・空の総力を挙げて攻撃を開始するが……。

『空の大怪獣ラドン』に続いて探偵小説作家の黒沼健が原作を担当し、東宝映画の娯楽路線を支えた名脚本家・関沢新一が初めて手がけた怪獣映画。アメリカで『ゴジラ』や『ラドン』が大ヒットしたのを受け、当初は海外セールスを意図したテレビ映画として製作が始まったが、最終的にシネマスコープサイズで劇場公開され、再編集によるアメリカ公開版も作られた。
そうした初期企画を反映した前半の神秘的な秘境ムードや、古代生物の生き残りと近代兵器を駆使した自衛隊の死闘を描く後半のストレートな展開には、ハリウッド製怪獣映画のようなアクション志向の面白さが感じられ、『ゴジラ』からの流用場面や自衛隊の演習フィルムを巧みに織り交ぜた編集など本多監督の手堅い演出を楽しむことができる。

杉本生物学研究所のセットにて。
前列左より千田是也(杉本博士)、
村上冬樹(馬島博士)、演出中の本多監督。
右端は防衛庁・草間一佐役の草間璋夫。
本読み風景。
左より当初出演予定だった藤木悠、本多監督、
主演の園田あゆみ、野村浩三。
湖に潜むバランに薬品攻撃をかけるシーンの
準備中、勝本三佐役の土屋嘉男と打ち合わせ。

Staff

製作    田中友幸
原作    黒沼健
脚本    関沢新一
監督    本多猪四郎
撮影    小泉一
美術    清水喜代志
録音    小沼渡
      宮崎正信
照明    金子光男
音楽    伊福部昭
監督助手  梶田興治
音響効果  三縄一郎
編集    平一二
制作担当者 川上勝太郎
特殊監督  円谷英二
撮影    荒木秀三郎
      有川貞昌
美術    渡辺明
照明    岸田九一郎
合成    向山宏

出演 野村浩三
   園田あゆみ
   千田是也
   平田昭彦
   村上冬樹
   松尾文人
   土屋嘉男
   田島義文
   山田巳之助
   瀬良明
   

本間文子
草間璋夫
伊藤久哉
桐野洋雄
山田彰
生方壮児
伊原徳
川又吉一
中島春雄
手塚勝巳

製作       田中友幸
原作       黒沼健
脚本       関沢新一
監督       本多猪四郎
撮影       小泉一
美術       清水喜代志
録音       小沼渡
         宮崎正信
照明       金子光男
音楽       伊福部昭
監督助手     梶田興治
音響効果     三縄一郎
編集       平一二
制作担当者    川上勝太郎
特殊監督     円谷英二
撮影       荒木秀三郎
         有川貞昌
美術       渡辺明
照明       岸田九一郎
合成       向山宏

出演       野村浩三
         園田あゆみ
         千田是也
         平田昭彦
         村上冬樹
         松尾文人
         土屋嘉男
         田島義文
         山田巳之助
         瀬良明
         本間文子
         草間璋夫
         伊藤久哉
         桐野洋雄
         山田彰
         生方壮児
         伊原徳
         川又吉一
         中島春雄
         手塚勝巳
         他

自衛艦の艦橋セットでスタッフ、
キャストの記念撮影。
自衛隊員役のエキストラに
迫撃砲の砲弾の込め方を教える本多監督。
哨戒機の偵察座席のセットで
俳優に演技指導する本多監督。