ゴジラ / Godzilla

ゴジラ 電線を前にしたゴジラのカット

1954年
東宝/モノクロ・スタンダード/97分
昭和29年11月3日公開

ゴジラの台本表紙
ゴジラのポスター

映画「ゴジラ」について 本多監督 談

奇想天外の空想映画だ。迫力を持たせながら、面白い映画にしてみたい。この種の映画の迫真性が問題になるが、映画技術としては東宝の特殊撮影技術陣が全知能を挙げて解決してくれるだろう。しかし、私の狙う真実は水爆下の恐怖に戦く現代人の心理的デフォルマションである。破壊の恐しさと絶望が、この映画のフィクションの中から切々と心に迫り、一つの反省を与えれば私としては望外のよろこびだ。
(東宝スタジオ・メールより)

映画「ゴジラ」についての解説

――大戸島近海で船舶の遭難が相次ぎ、台風の夜に巨大な怪物が島を襲った。古生物学者の山根恭平を団長とする調査団が被害状況を調べている最中、その謎の生物が再び出現。残留放射能などの証拠から、山根博士は海底で生きながらえていた古代生物が水爆実験の影響で安住の地を追われたものと推定した。
日本政府はさっそく対策本部を設置。大戸島の伝説に従って”ゴジラ”と命名された巨大怪獣の襲来に備えたが、ゴジラは自衛隊の防御網をものともせずに東京に上陸し、破壊の限りを尽くす。この未曾有の危機を救えるのは、山根博士の愛弟子・芹沢大助が開発した水中酸素破壊剤のみ。だが、それは原水爆以上の兵器になり得る禁断の発明だった

早くから特撮の重要性を認識し、海外進出を企図していた森岩雄製作統括重役と田中友幸プロデューサー、本格的な特撮映画で腕を振るいたいと考える円谷英二、復員時に広島の惨状を知り原水爆の恐怖を訴えたいと願った本多猪四郎監督ら、製作陣の意欲が結集して生まれた日本初の特撮・SF・怪獣映画。
公開当時は真摯な製作姿勢や世界平和へのメッセージが十分に理解されたとは言えなかったが、日本のみならず海外でも大ヒットを記録。その後シリーズ化されて昭和から平成へと時代の移り変わりとともにリメイク、リニューアルを繰り返し、さらにアニメ化、ハリウッドでの映画化など数々のエポックを経てゴジラは日本映画を代表するキャラクター、コンテンツへと成長した。そのすべての出発点となった作品である。

ゴジラ登場と東京上陸シーンの絵コンテ
ゴジラ登場と東京上陸シーンの絵コンテ
日比谷交差点からゴジラが電車や線路を足で踏んづけているシーンの絵コンテ
日比谷交差点から
日比谷交差点から現れたゴジラが口から破壊光線をふいているゴジラの絵コンテ
日比谷交差点から
本多監督所蔵のスクラップブック。
絵コンテを写真撮りして作られたもので、表紙には監督の自筆で所感が書き込まれている
本多監督所蔵のスクラップブック。
絵コンテを写真撮りして作られたもので、
表紙には監督の自筆で所感が書き込まれている
平河町付近でゴジラが鉄塔を破壊するシーンの絵コンテ
平河町付近
ロケ先の旅館でくつろぐ左より玉井正夫(撮影)、志村喬、本多監督、河内桃子、宝田明(恵美子の恋人・尾形秀人)、平田昭彦(芹沢大助)
ロケ先の旅館でくつろぐ左より玉井正夫(撮影)、志村喬、本多監督、河内桃子、宝田明(恵美子の恋人・尾形秀人)、平田昭彦(芹沢大助)

staff

製作    田中友幸
原作    香山滋
脚本    村田武雄
      本多猪四郎
監督    本多猪四郎
撮影    玉井正夫
美術監督  北猛夫
美術    中古智
録音    下永尚
照明    大沼正喜
音楽    古関裕而
応援監督  小田基義
監督助手  小松幹雄
特殊技術  円谷英二
      渡辺明
      向山宏
監督助手  梶田興治
編集    平泰陳
音響効果  三縄一郎
現像    東宝現像所
製作担当者 眞木照夫

出演 宝田明
   河内桃子
   平田昭彦
   志村喬
   堺左千夫
   村上冬樹
   山本廉
   鈴木豊明
   高堂国典
   及川武夫
   榊田敬二
   林幹
   馬野都留子
   鴨田清
   岡部正
   小川虎之助

恩田清二郎
菅井きん
東静子
川合玉江
橘正晃
堤康久
今泉廉
池谷三郎
手塚勝巳
中島春雄

製作       田中友幸
原作       香山滋
脚本       村田武雄
         本多猪四郎
監督       本多猪四郎
撮影       玉井正夫
美術監督     北猛夫
美術       中古智
録音       下永尚
照明       大沼正喜
音楽       古関裕而
応援監督     小田基義
監督助手     小松幹雄
特殊技術     円谷英二
         渡辺明
         向山宏
監督助手     梶田興治
編集       平泰陳
音響効果     三縄一郎
現像       東宝現像所
製作担当者    眞木照夫

出演       宝田明
         河内桃子
         平田昭彦
         志村喬
         堺左千夫
         村上冬樹
         山本廉
         鈴木豊明
         高堂国典
         及川武夫
         榊田敬二
         林幹
         馬野都留子
         鴨田清
         岡部正
         小川虎之助
         恩田清二郎
         菅井きん
         東静子
         川合玉江
         橘正晃
         堤康久
         今泉廉
         池谷三郎
         手塚勝巳
         中島春雄
         他

芹沢博士の研究室のセットで山根の娘・恵美子役の河内桃子)と本多猪四郎監督
芹沢博士の研究室のセットで山根の娘・恵美子役の河内桃子と)
大戸島で初めてゴジラと遭遇するシーンの打ち合わせ中。山根博士役の志村喬、田辺博士役の村上冬樹、島の少年・新吉役の鈴木豊明らと
本編ではカットされた海岸のシーンの撮影風景