私と本多猪四郎監督との出会いは特撮映画ではなく『サラリーマン上役下役ご同役』という作品でした。(私が20歳ころ)
入社試験のシーンで優秀な学生役を久保明さんが演じて私はおっちょこちょいで慌て者の学生役で最初のシーンのテストの後で「西條君!君がやりいいように君のテンポで明るくやればいいからね!お客さんがクスッと笑うような芝居を頼むよ!」とおっしゃって本番に入り、シーンを演じ終わり監督から「カット!」と言われたとき監督の顔を見るとにっこりと笑ってOKを下さいました。
この作品の後、明るいテンポのある役が自分に廻ってくるようになり、その後円谷プロの第一作『ウルトラQ』の一平役へと繋がっていったと思っております。
本多猪四郎監督と円谷英二特撮監督との特撮映画に数多く出演させていただいた事により役者としてどれだけの財産になったかわかりません。
撮影現場以外の思い出といえば、毎年お正月に本多邸に本多組のスタッフや役者が集まり、朝から晩まで飲み食いのパーティーが行われ大変な騒ぎでした。
その時の奥様は皆のために一所懸命食べ物を作ったり、気を遣わせないようにもてなしてくださる姿をみて、この奥様ありての本多猪四郎監督ありかな。。。なんてね。
長男の隆司君が私の後輩(成城学園)だったこともあって大変可愛がっていただき感謝しております。
今もきっと天国で円谷英二特撮監督と「よーい、スタート!」。。。
西條康彦