東宝/カラー・シネマスコープ/70分
昭和44年12月20日公開
(同時上映「コント55号 宇宙大冒険」「巨人の星 行け行け飛雄馬」=第1回東宝チャンピオンまつり)
(解説)
──小学生の一郎少年は両親が共働きの鍵っ子≠ナ、身体が小さく性格も引っ込み思案なために、ガバラというあだ名のガキ大将とその取り巻きからいじめられていた。
そんな一郎の楽しみは、空想の中でゴジラとミニラの親子がいる怪獣島に行って遊ぶこと。そこでミニラと仲良くなった一郎は、暴れん坊怪獣ガバラにいじめられたり、ゴジラに厳しく鍛えられたりするミニラを見て怪獣の世界も大変だと同情する。
しかし、その姿に知らず知らずのうちに励まされ、自分を人質にした二人組の強盗をやっつけ、ガキ大将のガバラにも立ち向かっていく勇気をもつのだった。
怪獣映画の新作やリバイバル公開の短縮版を、TVアニメなどとセットにして上映する東宝チャンピオンまつり≠フ第1回作品。公害や交通戦争といった当時の世相を踏まえ、主人公の成長を通して厳しい現実を生きる子供たちへ励ましのメッセージを送った、ほのぼのとした味わいの児童映画的ファンタジーである。
斜陽と呼ばれる映画の興行成績が悪化していた時代で、経費節減のために怪獣登場シーンは「南海の大決闘」「ゴジラの息子」(ともに福田純監督作品)などからの抜粋が中心。のちにアニメで一般化する再編集映画の走りだが、既成のフィルムと新規撮影部分の組み合わせには本多監督の編集センスが発揮され、アクションシーンでは本多作品には珍しくスローモーションやストップモーションなどの画面処理も使われている。
本多監督と主人公を演じる子役の矢崎知紀、等身大で登場するミニラ(マーチャン)
ゴジラがミニラに放射能の吐き方を教える場面など。特撮部分の演出も本多監督が担当した
新撮シーンの絵コンテ
製作中のガバラの着ぐるみをチェックする本多監督
出演者
矢崎知紀
佐原健二
中真千子
天本英世
田島義文
堺左千夫
鈴木和夫
当銀長太郎
沢村いき雄
石田茂樹
佐田豊
中山豊
伊東潤一
森徹
黒川俊哉
宮岡裕之
高橋信人
伊東ひでみ
中島春雄
覚幸泰彦
マーチャン
ミニラの声=内山みどり
他
一郎とクラスメートの下校シーンの撮影風景。右のサングラスの人物が監督助手を務めた中野昭慶
怪獣島のセットにてスタッフ、キャストの完成記念スナップ