東宝、ドン・シャーププロ/カラー・シネマスコープ/89分
昭和44年7月26日公開
(同時上映「巨人の星」)
(解説)
──赤道と日付変更線が交差するポイント、その深海2万メートルに建設された海底都市「緯度0」。そこには亡命または死亡したと伝えられる高名な科学者たちが移住し、国家やイデオロギーに縛られることなく、自分たちの研究を人類全体のために役立てようとしていた。
ジェット海流の調査中、海底火山の噴火に巻き込まれた田代博士とマッソン博士、ロートン記者の3人は、緯度0の潜水艦アルファー号に救助され、この科学の理想郷へと招待される。そして緯度0と敵対する悪の天才科学者マリクの野望を食い止めるため、マッケンジー艦長と共にマリクの本拠ブラッドロック島へと乗り込んでいく。
企画・原案と主要キャストはアメリカ側主導、脚色・演出・撮影は日本側主導で製作された日米合作のSFアクション。空飛ぶ潜水艦アルファー号とマリク配下の黒鮫号のスーパーメカ対決が特撮の見どころで、動物に人間の脳を移植した改造生物や巨大化血清、レーザー光線を発射する万能手袋、肉体を防護する免疫コーティングといった小道具・アイデアが満載。
セリフが全編英語のためか、日本の俳優陣が意識してゼスチャーを加え、ハリウッド・スターの演技とバランスをとっているのが面白い。本多監督の演出がグローバルに通用することの証明といえるかもしれない。
黒鮫号の追撃をかわすアルファー号ブリッジのマッケンジー艦長(ジョセフ・コットン)たち
作画合成される緯度0の実景シーンのロケにて、本多監督、円谷特技監督、特撮助監督の中野昭慶らスタッフ。本多=円谷コンビの作品はこれが最後となった
緯度0のオペレーターを演じたキャシー・ホーラン(右端)は松竹のSF映画「吸血鬼ゴケミドロ」「昆虫大戦争」などでおなじみ
マリク役のシーザー・ロメロ、その情婦ルクレシアを演じたパトリシア・メディナと。左端は通訳を務めたヘンリー大川
マリクが作り出した合成怪獣グリホンや大ネズミと主人公たちの合成スチール
出演者
宝田明
ジョセフ・コットン(声=納谷悟朗)
シーザー・ロメロ(富田耕生)
岡田真澄
リチャード・ジェッケル(村越伊知郎)
リンダ・ヘインズ(平井道子)
パトリシア・メディナ(翠準子)
中山麻理
中村哲
平田昭彦
大前均
黒木ひかる
黒部進
西條康彦
中島春雄
関田裕
他
アルファー号の女医、アン・バートン役のリンダ・ヘインズは「新・動く標的」「ローリング・サンダー」などに出演
謎に満ちたラストシーンの演出風景。ロートン役のリチャード・ジェッケルは深作欣二監督「ガンマー第3号 宇宙大作戦」(声優も同じ村越伊知郎)や、人気TVドラマ「ベイウォッチ」などで活躍した
ブラッドロックのセットにて、本編スタッフとキャストの完成記念スナップ